あ ば ろ ん

瀧昌史どんぶらこっこすっこっこ旅日記

だるまさんまわった

新年ですね。お正月といえばだるまさんですね。写真は昨年(2016年)夏に練馬区立美術館で催された「しりあがり寿の現代美術 回・転・展」の《回転体は行進するダルマの夢を視る》ブースです。訪ねた日は猛暑でしたが、館内は空調が良く効いていました。平日の午前中いちばんで行ったからか、人影はまばら。冷え冷えで静かななか、無音で回るだるまさんを見つめたことは、かなり印象に残りました。だるま市とか、優勝祝いとか、選挙事務所の当確万歳とか、だるまさんは常に喧騒とともにあるものなのだなあ、とそのとき気づきました。

 ブログ読んでいただき、ありがとうございます。本年もどうぞ、ごひいきに

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八十と書いてハトと読む

鎌倉を歩いていたら、鳩サブレーで有名な豊島屋のカフェ(甘味処?)豊島屋菓寮 八十小路(としまやかりょう はとこうじ)の入口に、この絵が貼ってありました。なんだか妙に身につまされるタッチです。
 そういえば今年の干支は丁酉(ひのととり)ですね。謹賀新年!

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天日干し天然もの

大晦日を迎えるにあたり自分が今年もっとも感銘を受けた景色をアップすることにしました。バイク好きにはたまらんフェンスです。特にディスプレイしている訳ではなく、忘れないよう掛けて置いている風の、天然もの物件ですね。偶然通りかかった、昭和な商店街のなかのバイク店。その隣の駐車スペースのフェンスです。青い木綿のツナギ姿でスクーターの整備をしていた主人に、思わず「ここ、写真撮ってもいいですか?」と聞けば、整備の手を休めず「いいですよ、どうぞ」。フェンスに陳列されたコレクションを改めて眺めれば、4気筒集合管系と、2サイクルスクーター系に大別できそう。1980年代バイクブームの残り香漂う景色です。

 そして整備スペース奥の車輌の並びには、逆おむすび型のテールランプが。チラ見してちょっとドキドキしました。カワサキのWかも。自分には薄暗い中にあるそれが艶めかしく、足を止めてガン見出来ませんでした。したかったけど

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白い恋人たち

シラス好きだったら、ぜひオススメしたいのが静岡県静岡市の用宗港にある『清水漁業協同組合用宗支所 直売所&どんぶりハウス』のシラス丼。プレハブの調理場で500円を払って発泡スチロール製の丼を受け取り、テント屋根の下に置かれたテーブルで、シラス漁船を眺めながらいただくというスタイルです。シンプルだけど、ここの釜揚げシラスは絶品です。ご飯の白とシラスの白が、目に眩しくせめぎ合います。
 直売所にあるシラスたたみ干しも絶品。シラスは獲れたて、茹でたてがいいですね。余談ですが、自分にとって「白い恋人たち」といえば(チョコレートではなく)シラスです

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旅路

海沿いの町を散歩中、路地をのぞいたら「旅路」のサインがありました。Coca-Colaのペイントのくたびれ具合が絶品です。オフセットされた二文字の置き方も時代を帯びており、これは銘品ですね。でもまだ修行不足の自分には、そのドアを開ける勇気がありません。「旅路」を前にチキンです。
 西伊豆、松崎町で見かけました。ドアを開けたら、どんな旅が始まるのでしょう

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YAMAHA RZ250

ああああこれはマズい!と、エンジンが吹け上がらなくなったバイクを本車線から路肩に寄せました。やがてアクセルグリップのひねりに反応は無くなり、シャラシャラとドライブチェーンは空回り。そして、バイクは止まりました。なぜマズいかといえば、指先でさぐったフュエルコックが、既に予備タンク位置だったからです。あああ、やってしまった! 時は深夜、名神高速のどこかです。携帯電話はおろか、二輪向けロードサービスも無かった1980年の夏の終わり、バイクは新車で買ったばかりのYAMAHA RZ250。サイドスタンドを出して、さてどうしよう、とあたりを眺めれば、そこは傾斜のついた盛り土高架の上。下は田んぼで、向こうに工場らしき建物が。灯りがついています。傍らを行くクルマのライトをたよりにシートを外し、テールカウル内にバンド留めしてあった車載工具を取り出し、なんとかタンクを外しました。見事にカラだったそれを両手に抱え、ガードレールを越え、盛り土を下り、灯りのもとへ。すみませーん! と何度か叫んで出てきたのは、かなりお酒を召したステテコ姿のおやじさん。どないした! とまず心配してくれました。バイクのタンクを抱えたまま、ガス欠で名神を降りて歩いて来たことを説明し、ガソリンの買い置きがあったら分けて欲しいとお願いすると、おやじさんは、ほうかほうか、事故やのうてよかったよかった、と目を細めます。こっちおいで、と工場を出て、トラックの傍らに。赤い灯油ポンプでそこからガソリンをわけてくれました。ええがな、気いつけてな、とガソリン代も受け取ってくれません。お礼を言って工場を辞し、ああ助かった、と歩き始めてタンクの重さに気がつきます。容量16ℓほどのタンクが、なみなみ満たされています。

 盛り土の途中で、困り果てました。タンクの重さで上れません。勢いをつけ1.5mほどは上がるのですが、踏ん張れず滑り落ちてしまいます。結局、わずかずつタンクを上げて、置いて、登って、またタンクを上げて、自分も登ってと、尺取り虫のように。尖ったガソリンコックを壊さぬよう、詰まらせないよう、気をつけながらの匍匐(ほふく)前進ならぬ、匍匐登頂です。バイクの元に戻り、タンクをセットして走り始めれば、ヘトヘトでした。今でもRZ250を見かけるとあの夜の、疲労困憊(ひろうこんぱい)を思い出します。おやしさんの「ほうかほうか、事故やのうてよかったよかった」という声が聞こえます

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ないものねだり

軍事施設?、宇宙センター?? アラブ首長国連邦(الإمارات العربية المتحدة)を構成する首長国のひとつ、ドバイ(دبي)のショッピングモールです。実はこれ、スキードバイ(Ski Dubai)という名の室内スキー場。夏には気温が50℃ともなる地に、400mに及ぶゲレンデを設け、かつては本気でスキーW杯を招致していました。さすがに、やることが豪快です。
 そういえばかつて船橋ザウスららぽーとスキードームSSAWS)という室内スキー場がありましたね。成田空港に行き来する際、首都高湾岸線からよく眺めました。1993年7月にオープンし、2002年9月まで営業していたそうです。跡地に今はIKEA Tokyo-Bayがあります。同じ頃、ワイルドブルーヨコハマ(Wild Blue Yokohama)という大型屋内温水プール施設もありました。こちらの跡地はマンションになっています。唯春の夜の夢の如し、ですね

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ランプマン

散発的な雷雨、時折の土砂降りとともに、大地に新しい生命が息吹くグリーンシーズンがやって来ました。と、南アフリカのリゾート、シンギータ(Singita)から便りが届きました。そうか南半球か、夏なのか、と夏好きとしてはうらやましい!
 写真はサビ・サンド動物保護区(SABI SAND RESERVE)にあるシンギータ ボウルダー ロッジ(Singita Boulders Lodge)のディナー セッティング。プールサイドに置かれたたったひとつのテーブルのために、163個ものランプが灯されます。天気のいい日のみの名物セッティングで、ランプマンと呼ばれる老人が、まだ日が高いうちからランプひとつひとつに火をつけ、長尺の竿で樹にかけていました。気の遠くなるような贅沢です

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景色もプリクラ

iPhone5の時はコンデジを持ち歩いていたのですが、iPhone7にしてからは自然、カメラを持ち歩かなくなりました。記録用ならほぼ事足りるようになったからです。難点はシャッター音が騒々しいこと。そして、きれいに撮れすぎてしまうこと。
 撮った直後は「ちょっと色とか盛りすぎだろう」とツッコミますが、時間がたつと「ああ、きれいだったな」と、記憶の方ががすり替っています。ある意味プリクラ、ですね。デジタル化によって添加物にまみれ、もはや『写真』ですらないかも

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ユタ州の髑髏酒

米、ユタ州のマウント カーメル ジャンクション(Mt.Carmel Junction, Utah, U.S.A)という州道の分岐点に、『レストラン ゴールデンヒルズ』(Restaurant GOLDEN HILLS)はあります。隣はモーテル、道を挟んだこちら側にはギフトショップがありました。そのギフトショップのカウンターの後ろに、テキーラ入りの装飾されたスカル デキャンタが並んでいて、とても気になりました。しかし旅はまだ途中。陶器と覚しきデキャンタは割れやすそうだし、今までの経験上、そう思ったものはほぼ確実にどこかで割れるしなあ、と購入を諦めました。
 そこはザイオン国立公園(Zion National Park)の入口。その国立公園、日本ではあまり知られていませんが、彼の地ではグランドキャニオン(Grand Canyon)と並ぶ人気とのこと。クルマで公園の一端をかすめただけでも、その異景には圧倒されました。……でもこの写真で瞬間的に思い出すのは国立公園の景色ではなく、自分的にはテキーラ入りのクールなスカルです

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Bar, Bar, Bar, Bar, & Bar.


宵に冬の香漂う頃になると、月刊誌の特集取材でバー巡りをしたことを思い出します。自分は地方都市担当で、1日5軒を目安にまわりました。ひとつの街に三日かけ、目星をつけておいた15軒程をまわり、セレクトした5軒を紹介します。初めての店でひとりカウンター席に座り、ドライマティーニをオーダーし、横目でステアの仕方を眺め、静かにマティーニグラスを傾ける。ちょっと世間話をしてお店のスタイルをうかがい、代金を払い、領収書を貰う。店を出たらすぐにどこか明るい場所を探してメモをとり、次の店への道順を確認。また新たな扉を開け、カウンター席に座り、ドライマティーニをオーダーする……。これを一晩に5回、黙々繰り返す訳です。面白かったけど、結構ハードボイルドかつストレスフルでした。お店の人からしたら明らかに普通の客ではなく、詮索をかわす(一応覆面取材が前提)のも、ちょっとしたコツが必要。よく警察関係者に間違われました。
 仙台では取材中に雪が積もってきたので、通りがかりの店にあったカナダ製の防寒靴を購入。前評判と違ってひどく投げやりなバーテンダーがつくった、いいかげんなドライマティーニをのまされた後だったので、買い物はちょっとした気分転換に。その靴で雪を踏みしめ次に訪ねたのが、国分町の『クラドック』。ここはオーセンティックないいバーで、救われた気分になりました。以来、グリーンのゴム製の防寒靴は自分のラッキーシューズに。だいぶくたびれてきましたが現役で、今も極寒取材で重宝しています

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自分好みの本音飯

ディナーが建前ご飯(たてまえごはん)だとしたら、朝食は本音ご飯(ほんねごはん)と言えるのではないでしょうか? それは我が家ばかりの話ではなく、旅先でもごく自然にそうなっている気が。それゆえ、朝食がいつも楽しみです。ホテルのビュッフェや、モーテルにおけるカウンター前のドーナツ、セブンイレブンのスパムむすびなんかも実にいいものですが、自分はダイナー(Diner)でいただくパンケーキ&コーヒーにより強くひかれます。
 先日〝北米におけるダイナーの定義〟という記事を発見。「床は市松貼りのフロアタイル」「カウンターがありスツールが並んでいる」とありました。確かに北米には白×黒のPタイル貼りのダイナーが多い気がします。……それでは、日本における〝食堂〟の定義とは? 「のれんが出てたら営業中」「メニューは短冊貼り出し型」「スポーツ新聞常備」「お茶無料」「楊枝も割り箸も裸」「長居はしない、させない」 といった感じでしょうか

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続 笑う警察

おや、増えています! この前、10月26日の「笑う警察」で、鎌倉警察署の植え込みがハッピーに刈り込まれていることを紹介しましたが、気がつけば笑顔のカップルになっていました。
 手前右にはベイビー誕生の予兆すら……。スペース的には大家族化もアリですね

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雪はうっすらが一番。

朝から雪が降っています。鎌倉で用事を終えてふと見上げたら、裏山も雪化粧。さすがに今日は行き交う人もクルマも少ないようです。その雪化粧を見ていて、北海道 朝里川温泉の小樽旅亭 藏群(くらむれ)を初冬に訪ねた際、初雪に見舞われた時のことを思い出しました。取材の合間、宿のご主人がこうつぶやきいたのです。「雪もうっすらぐらいが一番です。庭を見てもその下に何があるのか、雪が何を覆っているのかわかるぐらいが……。積もり過ぎると、ただただ雪で、遠近感もなくなってしまいますからね」
 言われてみればその通りです。雪に慣れていない自分には思いつかなかった正論だと深く納得したこと、雪化粧を眺め思い出しました

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「午後の曳航」

セドナ(Sedona AZ USA)を昼過ぎに出てすぐにクルマの後部座席で眠ってしまい、目を覚ましたら道が広くなっていました。インターステイトハイウエイ(I-40; Interstate Highway 40)に出たようです。今日はこのまま西へ向かい、I-40の終点であるバーストゥ(Barstow,CA)泊の予定。
 ふと右手を見ると、長い長い貨物列車が傾いた日にきらめいていました。55mph(88km/h)で巡航している車内から眺めると、停まっているようかのようにゆっくりです。脈略なく「午後の曳航」というフレーズが浮かびました。寝ボケ眼(まなこ)には、どこか夢のなかを走っているようにも映る貨物列車です

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