あ ば ろ ん

瀧昌史どんぶらこっこすっこっこ旅日記

敬意をこめてタコ

江ノ島(神奈川県藤沢市)を名乗る駅がいくつあるかご存知ですか? 江ノ電江ノ島駅小田急片瀬江ノ島駅、そして湘南モノレール湘南江の島駅と、三つあります。それぞれが適度に離れていて、こざかしい相互乗り入れなどとは一切無縁。まあ、キャラが違いすぎるので、将来的にも直通運転とか無理そうですね。
 写真はそのなかでも(たぶん、最も)マイナーな、湘南江の島駅、階段に壁面にあった絵です。湘南学園中学・高等学校 美術部による作品で、タイトルは〝OCTOPUS ~先輩へのHOMAGE~〟とのこと。いやあ、なんだかこみいってるなぁ!

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春はドラえもん

海岸でアンパンマンドラえもんに会うようになると、春が来た気がします。冬の風吹く砂浜に描かれるのは、せいぜい相合い傘(いまでもビーチでは結構ポピュラーです)ぐらい。風おさまり日差し暖かく水温む頃になると、描く余裕が生まれるのか、いろんなキャラに遭遇します。ちょっと前まではピカチューが全盛でしたが、逗子海岸や鎌倉の材木座海岸における現在の人気ツートップは、断然アンパンマンドラえもん。これはもう不動の人気ですね。ただアンパンマンは、ドキンちゃんカレーパンマンしょくぱんまんなど仲間達もよく描かれていますが、ドラえもんの場合は、ほぼのび太ジャイアンが(もちろん神成さんやジャイ子も)描かれていることはありません。
 写真は昨日、材木座海岸で会ったドラえもん。思いついた瞬間、枝先をザザッとふるた感じが、味わい深い。利休的無作為の作為というか、無作為の美を宿しています。髭脇から口へと流れる筆遣いには、無作為の景色があるなあ。いい仕事されましたね

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「由比ヶ浜」ではなく「由比ヶはま」

江ノ電でいえば長谷駅極楽寺駅の間、地名でいえば鎌倉市坂ノ下の星の井通りに『力餅屋』はあります。鎌倉権五郎(かまくらごんごろう)をまつった御霊神社(ごりょうじんじゃ)門前の老舗で、権五郎力餅が名物。伊勢の赤福餅にも似た、素朴な美味で人気です。包装紙を解くと「登録商標 鎌倉名物 権五郎力餅 由緒」があり、それをひっくり返すとこんな絵地図が。
 力餅をいただきながら(餅は春のよもぎ餅になっていました)絵地図の子細を眺めれば、過去へタイムトリップしている気に。至福のひとときですね。「由比ヶ浜」ではなく「由比ヶはま」というのが、いいなあf:id:takimasashi:20170316121447j:plain

 

なごり雪

青森に着いてホテルにチェックインし、夕飯を食べに出たときは晴れていました。夕焼けがきれいでした。食事を終えホテルに戻ろうと店を出たら雪です。ホテルに戻るタクシーのドライバーに「だいたいここらは、GW前まではスタッドレス(タイヤ)ですね」と教えられました。
 突然の雪よりも、その雪に誰も驚いていないことが旅情です。1955年に公開されたキャサリン・ヘプバーン(Katharine Hepburn)主演の映画『旅情』の原題はサマータイム(Summertime)ですが、旅情は夏だけのものではありませんね。移動によって季節が進んだり戻ったり。そのズレの断面に、日本の旅情が宿る気がします

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安楽椅子

群馬県谷川温泉の旅館にあった籐椅子です。浴衣で座れば窓の向こうに谷川岳が。湯上がりにこれほどふさわしい椅子、ちょっと見当たりません。以前の畳や板の間で構成された家には大抵籐椅子があり、お年寄りが腰掛けていると実に絵になりました、冬には座布団や毛布、膝掛け等を合わせ、ソファー風になったり。そういえば安楽椅子、という言葉もあったなあ。

 3年前に富士スピードウェイで開催されたVWフェスト2014で、初めてワイヤーフレームボディーのVWビートルを見たのですが、あれは籐椅子ならぬ〝籐車〟のようでした。白いスチール製ワイヤーフレームで唐草模様に編み込まれたそれは、まるでVWビートルの骨格標本のよう。メキシコオリンピック(1968年)セレモニーのためにVWメキシコが、タイプ1ビートルをベースにつくったモデルのレプリカ、とのことでした。次回のオリンピックセレモニーでは是非、籐で編まれたプリウスを見たいものです。それにしても、こういう椅子に強く心惹かれるとは、そういうお年頃になったということなのだろうなあ

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旅のトランジスタラジオ

ツーリング中、テント泊となった夜のみAMラジオを聴きます。テントを設営する場所はAM波しか入らない山間が多いから、自然そうなります。化繊特有のケミカルな香り漂うテントの中でひとり、遠いどこかで開催されているナイターを聴いたり、全く知らない中古車センターのCMを聴いたり。いつの間にか寝入り、雨がフライシートを打つくぐもった音で目覚めた深夜、ひどく懐かしい気に。かけっぱなしのラジオからやけにクッキリとした音で「逢いたくて逢いたくて」(園まり)が流れていたからでした。
 写真はその翌朝、撮ったもの。ああ、またツーリングに出かけたくなってきました

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移動こそ善である

1950年代に登場したシボレー コルベット(Chevrolet Corvette)のコックピットです。オープンエアモータリングを満喫できるアメリカンプレステージスポーツカーとして誕生。ボートのようでもあり、宇宙船のようでもあり、デザインに華というより夢がありますね。アメリカは生善説ならぬ、移動善説の国であり、アメリカ車の魅力もそこに由来しているようです。移動は善なり、とアメリカ車はささやき、誘います。日本はどちらかというと農耕系移動悪説がマジョリティですね。いつしかアメリカ車は、尊大で過剰なものとされてしまったのも、実は移動善説がうとましいから、かもしれません。1982年に公開された映画「蒲田行進曲」の中に、売出し中の映画俳優、倉岡銀四郎の愛車として'70年代中期のモデルとおぼしきキャデラック フリードウッド ブロアム エレガンス(CADILLAC FLEETWOOD BROUGHAM ELEGANCE)が登場します。ボディ全体に王将駒が散りばめられたそれを運転する銀四郎、銀ちゃんの運転は滅茶苦茶で、「バッキャロ、キャデラックに免許がいるかよ!」との名台詞も。
 日本におけるアメリカ車のイメージは、この頃とあまり大差ないかもしれません。本当はかなりアップ トゥ デイトされているのですが、根底にある移動善説が受け入れ難いため、難癖をつけられているようにも思えます。移動善説支持者たる自分にとってアメリカ車は、今も夢のクルマです

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1300ccの白バイ

右側に一本だけのマフラーとテールランプの形状からするとこの白バイ、HONDA CB1300Pですね。HONDA VFR800Pが排ガス規制強化で生産中止となったので、今や白バイといえばCB1300Pです。それにしてもVFRが搭載していたホンダのV4エンジンは名機でした。自分が初めて乗ったのは1980年代のこと。VFR750F(RC24)でしたが、独特のトルク感、鼓動感があり、大層速かった。でもなぜかあまり人気が無かったなぁ。

 それにしてもクルマはダウンサイジング エンジン全盛なのに、白バイが1300ccとはねぇ……。そのうち、白バイも〝125ccターボ〟とかになるかも。あ、それだと自動車専用道とかに入れない! 二輪を排気量で区分、差別する制度は、もうそろそろ見直す時期にあるようです

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とんでもねえ、

雨のパリ=シャルル・ド・ゴール空港(Aeroport de Paris-Charles-de-Gaulle)を離陸してすぐに眠りこみ、目が覚めたらアルプス上空でした。ニース(Nice)に向かう機上です。
 ぼーっとしたまま、夕日を浴びた峰々を眺めていたら、これはもうかなり神の視点に近いのでは? と思えてきます。蓮池越しにカンダタ(犍陀多)を見た釈迦(そう、蜘蛛の糸ですね)の眺めに近い? と。「とんでもねえ、あたしゃ神様だよ」とつぶやいてみました。志村けんドリフターズ時代の決めぜりふでしたね

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ロブスターロールの憂鬱

東海岸、ボストン(Boston,Commonwealth of Massachusetts)の名物にロブスターロール(lobster rolls)があります。ロブスターの切り身を、バンズ(buns)に挟んだ、というよりむしろ山のように盛ったローカルフード。店によってレシピは違い、シンプルにロブスターとソースのみもあれば、ロブスターの身を細かく刻んだセロリやピクルスとともにソースに絡めたものまで様々。シンプル派のバンズはホットドッグ用が多く、野菜入り派はバンズにも凝る傾向があるようです。たこ焼きにおける「具はタコのみ派」と「具も薬味も増し増し派」の違いにも似ています。

 写真はボストン ハーバー ホテル(Boston Harbor Hotel)でいただいたロブスターロール。バンズはクロワッサン風、具の盛りもお上品で、ロブスターを豪快に頬張る感はありません。これはこれで美味ではありますが……。たとえるなら、ザ・リッツ・カールトン 大阪のラ・ベ(La Baie)でたこ焼きをオーダーしてしまった感じ? と反省しました。まあラ・ベのメニューにたこ焼きはないだろうけど

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秋田にてケトルに目礼

秋田県の温泉宿でゆったりとした一夜を過ごし、朝は露天風呂で御来光。午前七時には早くも朝ご飯を食べ終えさて、もうひとっ風呂。ああもう一晩泊まりたいものだなぁと後ろ髪引かれつつ、出発の時間。部屋を出る際、忘れ物がないか見渡していて、電気ケトルが「Delonghi」であることに気づきました。ああこれはイタリアンカラーのマゼンダ(magenta)だったのか! 漆の茶器入れ、丸盆と見事な色揃えで「ああ、東北っぽい色。」と勝手に思い込んでいました。
 この赤紫、ポルシェ(PORSCHE)の純正色にもあります。ルビーストーンレッド(ruby stone red)です。そうえいば、イタリアンメイドのスーパーカーランボルギーニ カウンタック(Countach Lamborghini)のボディカラーにもあった気が。'80s香る色ですね。保護色的に馴染んでいたので、まったく気づきませんでした。セレクトした方の慧眼にちょっと感動。ヤラレましたと、ケトルに目礼し部屋を後にしました

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うなとり弁当的オキナワLOVE

南国らしい青い海や美しい空、沖縄の魅力は尽きません。自分はうなとり弁当にも強く心惹かれます。沖縄的に盛りのいいお弁当が、四百円とか五百円の値札をつけずらりと並んだ様は壮観です。
 たしか百円そばというのもあって、店で出汁を入れてラップして持ち帰れたような。味噌汁的に、弁当のお供に買うようでした。ああ沖縄に行きたくなってきました!

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「おお!」から「ほぅ」へ

都心をクルマで走っているとトヨタ MIRAI(ミライ)やホンダ CLARITY FUEL CELL(クラリティ フューエル セル)といった燃料電池車とすれ違うことがあります。霞が関周辺や、青山通りでよく会いますね。昨年のリリース直後は「おお!」と思いましたが、今は「ほぅ」程度に慣れてしまいました。
 写真は14年ほど前に、フランス、リヴィエラ海岸のリゾート、フレジュス (Fréjus)の旧飛行場で公開された、GM燃料電池車ハイ・ワイヤー(Hy-Wire)です。その際、GM研究開発・企画担当副社長、ラリー・バーンズ(Larry D. Burns)氏は「2010年から'20年が燃料電池車の普及期になるでしょう」と予言。……まずまず的中したようです。ハイ・ワイヤーは、1/1ラジコンカーの中からプロポ(無線コントローラー)で操縦するような〝未来のクルマ〟でした。余談ですがこのボディ、ベルトーネCarrozzeria Bertone)仕立てだそうです。当時シトロエンZXに乗っていたので、それがちょっとうれしかったこと、この写真を見ていて思い出しました

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セビルの思い出

旅の伴侶としてもキャデラック セビル(Cadillac Seville)は素晴らしいクルマでした。東京を早朝出発し、午後浅い時間に明石海峡大橋へ。ウェスティンホテル淡路に着いてクルマを降りても、なんら疲れていません。自分と相性が良かった、つまり好みだった、というのも大きいかもしれませんが、深く印象に残った一台でした。快適な空調のキャビンで、ゆったりとしたシートに身を任せつつ、残暑厳しい阪神高速のカオスの中を悠々自適。ステアリングを握りつつ「ああ、いいクルマだ」と何度も脳内ツィッターにツィートしました。

 余談ですが、このカットを撮った直後、ホテルの手前ドアから安藤忠雄さんが出てきて驚きました。ウェスティンホテル淡路が含まれる淡路島夢舞台の設計者でもあり、視察だった模様。建築家は集団の先頭で物凄い勢いで歩き、その後に取り巻きの方々がドドドッと続いたので、あたかも競歩集団のようでした。サッカー日韓W杯開催で、イングランド代表主将のデービッド・ベッカム(David Beckham)が泊まり、ウェスティンホテル淡路が話題となるのは、この後のこと。キャデラック セビルは2004年にキャデラック STSに代替わりしました。今でもたまにセビルを見かけると、オーナーをちょっとうらやましく思います

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開眼、至福の朝ご飯

部屋や温泉は太平洋、玄関は国道に面した、北海道のある民宿の朝ご飯。ビニール製テーブルクロス張りの座卓に、無造作に置かれた皿の上、北海道の至福が盛られていました。どれも見た目以上に美味で、泣かされます。アルミホイールに入ったのは小ぶりの原木シイタケで、当然の如くバター焼き。切り口もワイルドな小皿のタラコは、思わす開眼の滋味。
 これを部屋で、晴れた太平洋を眺めながらいただけるのですから、たまりません。あ、シイタケの左上に、宿の名入り箸袋がちょっとだけ写っていますね!

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