ポンピドゥーにて
十年ほど前の夏、パリのポンピドゥーセンター(Centre Georges-Pompidou)の広場で馬頭琴の演奏をしていました。ホーミーも披露してくれました。欧州からすると日本は海外ですが、モンゴルは地続き。馬頭琴の重奏により、広場に馬の大群が駆け回った(ように思えた)名演奏でした。
そのポンピドゥーセンター、現在はデイヴィッド・ホックニー(David Hockney)展を開催中です。生誕80周年を記念し、170点以上の絵画、写真、版画、ビデオ インスタレーション、図面等を集めた大回顧展、かと思いきや、御年80でご存命でした。失礼いたしました。毎週木曜は、23時迄開館しているそうです。夏の夜、デイヴィッド・ホックニー展を観にポンピドゥーへ、というのには、ちょっとそそられます。いや、ちょっとじゃないかも。ちょっとでは、ないなぁ
ちゅうちゅうに会いに
竹中工務店東京本店1階にある、GALLERY A4(ギャラリー エー クワッド)で開催中のヴァージニア・リー・バートンの『ちいさいおうち』展にあった、『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』の原画です。ちゅうちゅう好きの自分としては、たまりません! 会場に設置されたモニターでは、ヴァージニア・リー・バートンご長男のアリスティデス・デメトリアスさんが語る母、的なインタビューが流れていて「彼女はよく、すべての人の内面にアートがあると口にしていました」とコメント。アリスティデスさんも『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』が最もお気に入りとのこと。かなりご高齢とお見受けしましたが、腕にはApple Watch、パンツはTHE NORTH FACEでキメてられていました。
ヴァージニア・リー・バートンの『ちいさいおうち』展は8月9日まで。会場であるGALLERY A4へは、東京メトロ東西線 東陽町駅 3番出口から徒歩3分です。『きかんしゃやえもん』もいいけど、やっぱり自分は『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』派だな、と深く強く再確認しました
オバQ音頭でキュッ キュッ キュッ!
小学生だからフォークダンスを踊らせる、という風潮がかつてあって、自分は小学生のとき、これを暴力だと感じていました。踊らず、時に激しく叱責されました。今でもオクラホマ ミキサーを聴くと悲しくなります。オクラホマ ミキサー、曲名だと思っていたら、あの忌まわしいダンスの名前とのこと。Oklahoma Mixerだそうです。では、あの曲の名前は? といえば、Turkey in the Straw。♪ 特別じゃない英雄じゃない みんなの上には空がある〽 と歌ったのはAIちゃん(篠原誠 作詞)ですが、Turkey in the Strawの邦題は「藁の中の七面鳥」。出だしの歌詞はこうです。♪ さあたいへんだ さあたいへんだ 七面鳥が逃げてゆく〽 (日本語詩作詞 久野静夫)。
その一方、盆踊りは昔からわりと好きです。ひなびていればひなびているほど、輪が小さければ小さいほどいい。写真は北鎌倉円覚寺の山門周辺で催される盆踊り大会。例年、8月15,16,17日の午後7時から9時半頃まで踊れます。さすがにもうオバQ音頭はかからないけど、例年ドラえもん音頭では盛り上がります。自分はオバQ音頭、好きでした。オバQ音頭をリコメンドしている盆踊り大会があったら、参加したいです
サンダーバードではなくサンバード!
はじめてのアメリカ行きは、デイトナビーチ(Daytona Beach, Florida)のバイクウィーク取材でした。ひとり深夜にオーランド空港(英: Orlando International Airport)に着き、レンタカーカウンターで鍵を受け取った際、クルマは「サンダーバード」と聞こえました。それはゴージャス、と、喜んで指定された駐車スペースに行くと、あったのは地味めの青いコンパクトセダン。決してサンダーバードではありません。ええ? と思いつつ、鍵を刺すと、見事に解錠。とりあえずトランクにスーツケースをと、リアにまわればPontiac Sunbirdの文字が。サンバードか、そんなクルマあるんだ、と残念ながら腑に落ちました。やや緊張しながらサンバードで空港駐車場を出るときの高揚感と、3月なのに蒸し暑いフロリダの夜の甘い風は、今も忘れていません。
その夜は、デイトナビーチに向かう途中のモーテルに1泊。ドアを開けた瞬間部屋というつくりに慣れず、ドアの外で靴を脱ぎかけたりしました。唸るエアコンをBGMにすぐに爆睡。1980年代終わり頃の話です。写真は数年前にアメリカ西部で撮った1枚。初めて訪ねてから30年近くたちますが、アメリカでの旅の基本は、さほど様変わりしていない気がします。ポンティアックも 、サンバードも、無くなってしましましたが
よし、飲もう!昼だけど
ランチを食べに行った店の入口にあったポスターです。モデルのセレクトが本土大手のそれとは大きく異なっていて、そのギャップに魅せられました。事実オリオンドラフトを無性に飲みたくなったので、ポスターの出来は満点といっていいでしょう。よし、飲もう!昼だけど、と決意は固まったのですが、生憎お店は満席で「30分以上空かないかもしれません」とのこと。
また来るね、と彼女に言い残し、結局その日は別の店でタイ料理をいただきました。沖縄料理より、もはやオリオンドラフトを飲みたい一心で、再訪が楽しみです
いすゞ ベレット
ベレット(ISUZU Bellett)です。風洞実験用のモックアップとのこと。いすゞプラザ(神奈川県藤沢市)に展示されていました。いすゞプラザはいすゞ創立80周年記念事業の一環として作られた施設で、なかなか見応えあります。自分は1980年代にベレット、'90年代にフローリアンに乗っていたいすゞ好きなので、大いに楽しみました。
それにしてもこのモックアップ、質感といいスケールといい、たまりません。以前取材で訪ねた滋賀県立安土城考古博物館の一角に、地元の神社から委託され預かっているという、とても印象的な木彫のご神体(片足を立て膝にした女性が、自分の瞼を指で開け、髪の間からこちらを見ている)があり、「おお、魂が入っているなあ」と感動しましたが、これを見て、なぜかそのご神体を思い出しました。ちょっと黒光りしてるのも、ありがたい感じ満点です。柏手を打ちたくなりました。ベレット、名車ですね
シーバーズカフェにて
JR日立駅(茨城県)の駅ナカ(とはいっても改札外ですが)のシーバーズカフェです。海に張り出したように撮られた写真で紹介されていることが多いので、海っぺりかと思いきや、向こうには家があり、海に張り出して海上橋を行く国道6号線日立バイパスがあり……。設計は、地元日立市出身の妹島和世さん。妹尾さんは日立市役所の新庁舎も設計していて、この4月28日に竣工。7月18日の供用開始を前に、今週末(7月1日、2日)には市民を対象とした新庁舎内覧会も開催されるようです。妹尾さんといえば、2018年度末運行開始予定の西武鉄道 新型特急車両のデザイン監修でも話題になっていますね。6月13日に発表されたイメージ画では、窓が(やっぱり)とても大きく切られていました。
シーバーズカフェの下は日立駅海岸口のロータリーです。板子一枚下は地獄(いたこいちまいしたはじごく)は船乗りの常套句ですが、シーバーズカフェは〝板子一枚下は現実〟でした
恋は水玉
茨城県の袋田の滝入口にある土産物屋、滝本屋本店のテーブルです。今はもうなかなか見なくなった(都心部では絶滅危惧種)瑠璃水玉の茶碗です。ピカピカです。プラスチックのざるに無造作に重ねられているのがいいですね。傍らのピッチャーとペアで、ご自由にどうぞ的演出に余念がありません。危惧種を大切に……的あざとさは皆無で、あるのはバリバリの現役感のみ。ふと「恋は水玉」というフレーズが浮かびました。そんなタイトルの歌謡曲、あったような、無かったような。
滝本屋本店は、滝見橋の手前の小さなロータリーに面していて、店内一角が食堂というつくりもキュートです。残念ながら閉店間際に入ったので注文できませんでしたが、山菜ざるそばとか、ちょっと美味しそうでした
それゆけリア充・立石!
京成立石駅に着いたのはお昼過ぎ。約束の時間まで間があったので、食事のできる惣菜屋にしてのんべえにも愛されている倉井ストアーに行きました。13時前でしたが、草野球ユニホーム軍団も、夫婦らしき方も、おじさん三人連れも、その他のテーブルも、ことごとく皆さん、お召し上がり中です。草野球軍団は既に一試合終えた後、缶酎ハイを開けつつ、口(くち)野球の熱戦真っ最中。ダブルヘッター、ですね。「そりゃあ、ナガシマだったらよォ……」と懐かしいフレーズも飛び交います。600円のメンチカツ定食をオーダーしました。所用があるので、お酒をのめず申し訳ないかんじです。見るともなし壁のお品書きを眺めていたら「店内での携帯電話、パソコンの使用はご遠慮ください」の但し書き。スマホは? と心中ツッコミつつ、ハタと気がつきました。そういえばさっきから、スマホを持っている人を見てない! 立石駅到着前、押上駅で乗り換えたあたりから、見てない気がします。その後も、定食を食べ終え所要を済ませ立石駅に戻る間に、通りでスマホをいじっている人はいませんでした。リア充・立石ですね。一度怪しい動きのおじいさんがいましたが、よく見れば掌の小銭を数えていただけでした。歩きスマホはいませんが、歩きタバコはけっこう多い。歩きタバコと歩きスマホ、どっちが不健康か、考えてしまいました。……たぶん歩きスマホだな。立石駅の改札に上がる階段のところで、格安SIMのブランド銘入りポロシャツを着た若者が、その配っているポケットティッシュをもっとくれ、とご機嫌風のオジサンに絡まれていました。いいぞ、リア充・立石! 上り電車を待って、再び押上駅へ。そこで東京メトロに乗り換え、渋谷に出るつもりです。
やって来た半蔵門線に乗り、シートに腰掛け、思わず息をのみました。向かい側に座った老若男女一列全員が、スマホと対峙していたからです。
スーパーマン トリオ
ここのところ、電話ボックスが続々撤去されているような。なぜか電話が撤去され、しばらくしてボックス撤去に至る、というパターンが多いようです。鎌倉の若宮大路にあった、椅子付きの電話ボックスもそうでした。電話ボックスが無くなると、クラーク ケントがスーパーマンに変身できなくなる、というのは言われて久しい軽口です。クリストファー リーヴ(Christopher D'Olier Reeve)がクラーク ケントとスーパーマンを演じ、1979年に公開された映画『スーパーマン』では、回転ドアをくぐり抜けながらスーパーマン化するシーンがあります。電話ボックス可視化の進んだ1970年代後半にして、もう無理があったのかもしれません。
写真は旅先の漁港、仲卸市場裏手に並んでいた電話ボックス。かつては浜値を伝えたり、トラックの手配をするのに、さぞ活躍したことでしょう。まずは電話のみ撤去されたようで、合羽干し場として余生を過ごしています。その合羽の青い色合いにちょっとだけスーパーマンを思い出しました。トリオのスーパーマン、いやスーパーマン三兄弟か?