こまち贔屓
たとえば東京から盛岡(岩手県)まで新幹線で行くとして、はやぶさとこまちが連結されていたら、どちらの車輌の席を選びますか? はやぶさの普通車は東海道新幹線と同じ3席+2席が横並びのレイアウト。それに対し、写真にあるようにこまちは横に2席+2席です。ミニ新幹線ゆえ車内幅もちょっと狭いのですが、自分はこまち贔屓。窓側席も心もちゆったりしていて、乗り心地も良好。何よりたいてい、はやぶさより空いています。
こまちといえばこの夏、ツーリング中のこと。国道46号線を秋田方面に向かっていて、たまたま右手に刺巻駅(さしまきえき)を見かけ、小休止。ひなびた単線区間の無人駅で、駅からはミズバショウが群生する湿原に至る歩道まで整備されていました。待合室に入れば「列車が来ます」との自動音声。どんな趣の車輌が来るんだろう、1両かな、2両かな、などと思っていたら7両編成のこまちがシャーン!と通過して行ったので、物凄く驚きました。ミニ新幹線とはいえ、東北新幹線区間では320km/hを出すこまちです。その長閑な風景と、朱色のロングノーズのギャップは凄まじく、呆然。たいへんいいものを拝見できたと、ややあってから嬉しくなりました
「杭全」「放出」「生玉表門」読めますか?
大阪市内には、ちょっとそうは読めない、という地名がトラップのように散りばめられています。気が抜けません。自分は学生の頃、配達のバイト中に「クマタを左や」と言われ杭全をクマタと読めず直進、その先の「百済(くだら)」でたぶんここだろう、と曲がって道に迷い、「なにをしとる?」と攻められたことがあります。
放出(はなてん)、喜連瓜破(きれうりわり)、住道矢田(すんじやた)とか、まったく読めず、一度聞いても納得できないのですぐ忘れました。いまだに不意を突かれると、不安です。最近見つけたクセモノは「生玉表門」。なんか台湾風だな、と思い写真を撮りました。谷町九丁目と上本町の駅が最寄りです。「いくたまおもてもん」と読むそうです。いくたまさん、と呼ばれている生國魂(いくくにたま)神社の表参道、ということですね。余談ですが(まあこのブログはすべて余談ですが)いくたまさん境内には崖縁占(がけっぷちうらない)があります。それもまた実に大阪らしい響きです
なつかしいくりはら田園鉄道
宮城県登米市の石越駅と栗原市の細倉マインパーク前駅までの25.7kmを結んでいたくりはら田園鉄道線。細倉鉱山からの銀や鉛の運び出しや、炭鉱労働者の通勤の足として活躍しましたが、1986年の細倉鉱山閉山により経営が悪化。'95年には設備の老朽化を受け電化を廃し、気動車(ディーゼルカー)運行に切り替え起死回生をはかりましたが経営は立て直せず、2007年に廃線となりました。かつて本社と車両基地があり、くりはら田園鉄道の拠点となっていた若柳駅は今も残っています。あたりは鉄道公園で、そこには『くりでんミュージアム』もあります。
写真左の車輌は、電鉄時代に活躍したM153形。1955年から40年間働き、今は若柳駅ホームにつけてもらったひさしの下で静養中です。2枚窓のフロントフェイスと昭和的流線型を醸す塗り分けがいいですね。単眼のヘッドライトから、幕のようなカーブを描く紺のアクセントにより小顔効果もバツグン。乗ったことはないけど、なつかしい
中尊寺のカエル
平泉中尊寺(岩手県西磐井郡平泉町)境内、本堂と大日堂にはさまれて峯薬師堂(みねやくしどう)があります。「め」「め」「め」「め」「め」「め」「め」「め」「め」「め」「め」「め」「め」「め」「め」「め」「め」「め」「め」「め」「め」「め」「め」「め」「め」「め」「め」「め」「め」と、絵馬が訴えてくるので、すぐにわかります。薬師如来座像がまつられていて、目にご利益があるのだそうです。その絵馬の並びは、ちょっとつげ義春の『ねじ式』っぽい。
お堂の前には狛犬ではなくカエルが鎮座していて、やはり目がパッチリ。風雪に耐え時代を帯びていて、なんだか霊験あらたかなたたずまい。真一文字の口元も凜々しく、潤みがち、黒目がちな目に何事か訴えられました
ビバ!メキシコ 2018
アルフォンソ・キュアロン(Alfonso Cuarón)が監督した映画『ローマ』(Roma) が第75回ベネチア国際映画祭で金獅子賞を穫ったとのこと。『天国の口、終りの楽園。』(Y TU MAMA TAMBIEN:AND YOUR MOTHER TOO / 2001 メキシコ)、『ゼロ・グラビティ』(Gravity / 2013 米)でアルフォンソ監督贔屓となった自分としては『ローマ』、楽しみです。『天国の口、終りの楽園。』にも『ゼロ・グラビティ』にも海のシーンがあり、それがとてもいいハイライトでした。地球は水の星だと実感でき、うれしく感動しました。
ところで。いま話題の『カメラをとめるな!』をハリウッドでリメイクするなら、自分的には、やっぱりアルフォンソ・キュアロン監督推しです。水まわりシーン抜きでもいいから、観てみたい。なんか壮大で凄い作品になりそうな気がします
美味しいときにやめときな。
富士山のまわりを標高高めに走るのは、夏の日帰りツーリングの俺様的定番。昼食は富士宮の『むめさん』に寄りました。かつて、全部は食べきれないな、と躊躇していたら鉄板越し、焼きそばを焼いているおばさんがボソッと「美味しいときにやめときな」。言われた瞬間、ああ西部劇のバーみたいだ、とジーンとしました。以来(食事中に限らず)何かに躊躇するたび「美味しいときにやめときな。」を思い出すようになり、自分の金言として大切にしています。
しかし夏の『むめさん』のカウンター席は暑い。鉄板からの熱風がもろに顔に当たること、しばしば。そうだったそうだった、夏の『むめさん』は暑いんだ、と注文してから思い出しました。ご馳走様でした
バスをパリではブスと言います
パリで歩き疲れたら、ついつい面白くてうろうろし続け気がついたらヘトヘトだったら、ダブルデッカーの2階席、斜め上から街を見渡せるBig Bus Parisがお薦めです。
循環していて乗り降り自由。最初に見かけたときは、ちょっと馬鹿にして見過ごしていましたが、一度乗ったらとりこになりました。パリ凱旋を果たした気分にさせてくれます。ナイトツアーも良かった。いま時分は特にいいだろうなぁ
生け花
炎天下、神社境内木陰の静寂をみつけ、ひと休み。ベンチに腰掛け足元に視線を落とすと、なかなかの景色。花が生けてありました。
文字はありませんが詩のようです