あ ば ろ ん

瀧昌史どんぶらこっこすっこっこ旅日記

旅のリアル

 旅の話をします。旅という言葉のカッコよさとはうらはら、旅のリアルはカッコよくいきません。例えばツーリング中、オートバイで400kmほど走って無事宿に。寝床で目をつぶって瞼に浮かぶのは、どこかで見た妙にひしゃげていたガードレールの端っこや、極彩色に塗られていた道端のお地蔵さん、だったりします。ライディングを満喫した一日の結論がそれ? と腑に落ちませんが、リアルです。
 早春夕暮れの尾道向島との間わずか300mの尾道水道を行き来する兼吉(かねよし)渡しの渡し賃は大人100円、自動二輪10円でした。水道とはいえ狭まった瀬戸内海だから、潮流の早いこと! 航行時間は4分で、カブやスクーターはもちろん、自転車も皆、デッキで跨がったままです。この渡しのことは、今でもよく思い出します。潮流のなか渡船は終始ドリフトしていて、最後にカウンターをあて着岸。エンジンを切ったオートバイに跨がったままデッキにて、密かにエア・カウンターを楽しみました。ああ、こう書いてみるとやっぱりリアルはカッコよくないですね。

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