南アフリカの夜
ヨハネスブルグでクルマを借りて南西におよそ500km。南アフリカの荒涼は、時にオーストラリアや北米のそれを思い出させるものでした。その日の宿は、キンバリーという町の近くのクリアウオーターロッジ。キンバリーまではスムーズでしたが平原の中にあるはずの、ロッジへのゲートがさっぱりわかりません。電話に誰もでないし。そのうちサバンナの日はすっかり暮れました。
その後、闇の中でスタッフのクルマと偶然すれ違うことができ、無事到着。やれやれとラウンジのソファーに腰を下ろしたら、コーヒーテーブルの上、ダチョウの卵を守るゲッコーと目が合いました。濃厚な闇と、ざらりとした静寂。闇圧、というものがあるとすれば、その圧に押しつぶされそうな夜が始まりました。