二階建ての解放区

6月のパリ。二階建ての二階部分がオープンになっている市内観光用巡回バス、オープンツアーバスが気に入りました。晴れた初夏、風も日差しも心地よく、それまで見たことのないパリにたびたび遭遇しました。そういえば、サン ジェルマン デ プレで日本人有名指揮者とそっくりな方が横断歩道の信号待ちしているのも目撃。当時その方は、病気療養中で去就に注目されていたので、意外に無防備な方なんだなあ、パリだなあ、と安心しうれしくなりました。
　乗り合わせたほぼ全員がパリのアウトサイダーであることも気が楽です。二階は素直にパリにいることをはしゃげる解放区でした。前にいたカップルがうっとりと「……ブス……」「……ブス……」と言い合うのも微笑ましかった。バスは独語で「ブス」なんですね。