あ ば ろ ん

瀧昌史どんぶらこっこすっこっこ旅日記

リアルひとりパクパク

ニューモデルのステアリングを握り、噂のレストランをたずね、シェフに話をうかがい、評判のひと皿をいただきます。そのニューモデルがデートカーとしていかに優れているか、そしてそのひと皿の美味がデートにおいていかに〝有効〟であるかについて、月刊誌に寄稿する連載がありました。読んでくださった読者の方から(時には編集者からさえ!)「いつも美味しいものを食べられて、それが仕事なんて、いいですね」と、よく言われました。そんなときは心を初代林家三平にして「どうもすみません」とこたえます。実際はカメラマンの方とふたりで出かけることがほとんどで、試乗しながらの取材ゆえ、お酒が飲めません。それが不満なんて贅沢、とのご意見もあるでしょうけれど、お酒をいただきながらが前提のメニューも多く、それをただひとりでパクパク食べるのも「……ナンだなァ」と。関西のさる料亭では、懐石最後の栗ご飯に妙にハマり、板長に絶賛したら「まあお酒なしやと、そうならはるかもしれませんな」と冷や水を浴びせられました。
 写真はカリフォルニア、ホリスター近くのInn At Tres Pinos(トレス ピノス)、おススメのひと皿。石板の上にのっていたのは、黑胡椒をふったマグロのソテー。添えられているのはマッシュルームとグリーンチャツネで、手前はオレンジです。オーナーのマイク ハワードさんは「これには白ワイン、カレラのヴィオニエ(CALERA Viognier)が合いますね」とニッコリ。ワインなしのひとりパクパクが、とても恨めしかったひと皿です

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