あ ば ろ ん

瀧昌史どんぶらこっこすっこっこ旅日記

リコンファーム

自分が初めて海外に渡航した頃は、飛行機のチケットは紙のバウチャーでした。今では考えられませんが、リコンファームがマスト。旅先で、昼間エアラインのオフィスが営業している時間に電話して、搭乗する旨申告しなくてはいけません。確か搭乗便出発の1週間前から72時間前迄に、という条件だったと思います。携帯電話のなかった頃はこれがなかなか大変でした。アエロフロート( Aeroflot)のモスクワ経由便でミラノに行ったときのこと。アエロフロート ミラノ支店にいつ何度電話しても、出ません。取材を中断して、公衆電話を探して、というのもなかなか手間です。意を決し、予定をひとつキャンセルし、直接オフィスを訪ねることに。市街地図を見ながら通りを歩いていたら、物陰に隠れていたロマの方々に囲まれてしまいました。次の瞬間、ニットにくるまれた赤ん坊をいきなり投げられ条件反射的にキャッチしたら、目を開けこちらを静かに見ている、生きた赤ん坊です。自分のショルダーバッグにロマの誰かの手がかかったそのとき、傍らの店からおじさんが大声で威嚇。半笑いの母親が赤ん坊を自分の手からひったくり、皆走って退散、幸いミラノ市街図を無くしただけで済みました。

 そうやってたどり着いたアエロフロート ミラノ支店で、リコンファームに来たとバウチャーを差し出すと、窓口のプラチナブロンドは「あら、電話でよかったのに」とニッコリ。その間も、音量を絞った電話のコール音が、まるでBGMのように流れていました

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