あ ば ろ ん

瀧昌史どんぶらこっこすっこっこ旅日記

青々と晴れた海

運河の街、小樽(北海道小樽市)をクルマで走っていたときのこと。祝津(しゅくつ)から石狩湾を左手に市街に入り、小樽運河と小樽港を結ぶ水路にかかる橋を渡ったら、右手奥にホテルノルド小樽のドームが見えるあたり、その手前の角地に尋常ならざる数のウミネコが。空き地はコロニーと化していました。視線を道に戻せば、灰色のふわりとしたものが、たどたどしい足取りで横切っています。右手のコロニーから、左手の港にむかって、まるで風に吹かれた大きな綿埃のよう。クルマを左に寄せて停め、車道から歩道への段差を登ろうと必死になっているそれに近づけば、ウミネコのヒナでした。やっと歩道に這い上がったヒナは、海と歩道を分かつフェンスの下をくぐり、その淵でやっと止まりました。よく見れば、頭といい体といい、鋭いくちばしでつつかれたと思われる跡が無数にあります。海をじっと眺めているので、すくい上げ戻したものかどうかコロニーを見に行けば、そこには血まみれでもう完全に息絶えている雛が三体。事情が飲み込めました。綿埃のようなヒナは禍を逃れ、自らコロニーを後にしたのでしょう。

 淵に立つヒナのもとに戻れば、まだ青々と晴れた海をじっと見ていました

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