あ ば ろ ん

瀧昌史どんぶらこっこすっこっこ旅日記

ヘルメットを脱いで

二輪免許取得は1970年代後半で、当時すで最高速規制が40km/hを超える道路ではヘルメットの着用が義務化されていました。免許を取ったら停学、バイクに乗ったら退学というむさ苦しい高校に通っていた身としては、この規制は顔バレ対策にむしろ好都合。でもあの当時は、観光地で景色が良かったりすると、ヘルメットを腕にノーヘルで爽快感を味わうライダーも多かった。ばったり出くわしたパトカーにも、短くサイレンを鳴らされ「ヘルメット!」とマイクでがなられるくらいで済んでいたような。だから高校生の自分にとって、ツーリング先でヘルメットを脱いで走る時の爽快感、開放感には格別のものがありました。
 1980年代の終わりにミラノ郊外のモトグッチ(MOTO GUZZI)で広報車を借りてフィレンツェまでツーリング取材した際も、ノーヘルを注意されました。夕方の渋滞でカメラマンが乗った取材車とはぐれてしまい、旧市街の迷路にハマり、そのうち冷え込み妙にシールドが曇るのでヘルメットを腕にかけて走っていたら、アルノ川に架かるポンテ ヴェッキオ(Ponte Vecchio)橋入口で、バイクを降りようとしていた警官に遭遇。「そのヘルメット、被りなさい」と手振りで怒られました。ああ、助かった、と傍らにバイクを停めて事情を話すと、パスポートチェックの後、メモにあるホテルまで先導してくれました(もちろん、サイレンを鳴らしながら!)。別れ際、警官は「良いバイクだね」とニッコリ。走り去る彼が乗っていたのが、BMW(たぶんK75)だと気づき「そういうものか?」と思ったこと、妙によく覚えています

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