あ ば ろ ん

瀧昌史どんぶらこっこすっこっこ旅日記

モトグッチ V7 Ⅲストーンの一徹

 ああモトグッチだ! ちょっと震えてしまったのは、大磯から西湘バイパスにのってアクセルグリップをひねった2秒後。バルン、バル、バッ、バッバッバッバッバッバーッッッッッッと、いかにもモトグッチ的な定規で太い直線を引くごとき加速。OHV・Vツイン 744ccエンジンはトルクよりも先に、何時までも何処までも感を湧出。ただし52PS/6,200rpmの最高出力を誇っており、決して懐古主義的なエンジンではなく、マナーも素晴らしい。モトグッチとは〝魔法の丸太〟である。
 1990年代のはじめに、ミラノ国際モーターサイクルショーの取材でイタリアに行き、せっかくだからミラノの北のモトグッチ本社を訪ね、1000Sを借りフィレンツェまでツーリング取材したことがあります。ナビはおろか、スマホもケータイも、PCすら我が身の回りに無かった頃のその旅は、実にいろいろありました。バイクを借り受け、道に迷いに迷った末なんとかミラノの宿に1000Sを乗り付け、何処に駐めたらいいかマダムに相談すると「ジャポネがイタリアのブンブンに乗ってあらわれた!」と大騒ぎ。もう50年は開けて無さそうな、壁と同化していた扉を開け「ここに置け」と。中には埃とシーツを纏った数台のクルマがあり、1000Sの定位置は金色のシトロエンSMの隣となりました。それから波瀾万丈の旅が始まったのですが、その三十年近く前の1000Sと、今回乗ったV7 Ⅲストーンの印象がさして変わりません。もしバイクにも花言葉があったとしたら、MOTO GUZZIのそれは「一徹」だと、そう思います

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