あ ば ろ ん

瀧昌史どんぶらこっこすっこっこ旅日記

Indian Scoutの男前

 乗りやすい! と、驚いた。拍子抜けしたと言ってもいい。低く、ぎっしりと身入りのいい筋肉質な風貌から想像した乗り味とだいぶ違う。まずエンジンがいい。回転は頭打ちになることなく、のびやか。例えば前車の追い抜きに、瞬時加速を得るべく少々無理なシフトダウンをしたとて、69 CU IN、つまり1130 ccのVツインエンジンらしからぬマナーの良さで、回転を合わせてくれる。水冷ゆえか、音にも振動にも粗暴さは皆無。こんなファーストインプレッションを得たバイク、前にもあったなぁ、としばらく考え思い出したのは、1986年に出たヤマハ FZX750だ。デビューしたその年に雑誌の取材で北海道 知床まで走り、驚いた。V-MAXの弟分的なフォルムから受ける印象は裏切られ、水冷DOHC5バルブ直列4気筒ジェネシスエンジンの素性の良さにより、至極健全明朗会計なツーリングマシンだったからだ。……実は、浅はかな自分はこのスカウトを、H-DにおけるSTREETR 750的な立ち位置モデルと勘違いしていた。まぁ、価格からしてSTREETR 750の倍ほどで、それは無理なカテゴライズだが、今回乗ってそれが全くの勘違いだと気づくことに。スカウトはとても理知的で、所有する楽しみに加え(以上に?)乗る楽しみを備えている。
 惜しいのは、このスカウト、写真映りがあまり良くない。実車はいいのに、写真映えしないバイク、というのは1970年代以降のドゥカティモトグッチBMWにもままあった。「映え」重視の現在はその逆、つまり写真では映えるが肉眼には弱い、というデザインも時折見受けられるが……。このスカウト、実車の方が男前だ。乗ると、さらに男前。そして男前な旅の予感を秘めている

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