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瀧昌史どんぶらこっこすっこっこ旅日記

不死鳥歌劇場に藤原義江は立ったのだろうか

 ミラノのスカラ座、ローマのオペラ座と並ぶイタリアを代表する歌劇場、ヴェネツィアフェニーチェ劇場(Teatro La Fenice)です。17世紀後半に竣工し、1996年の火事(今のところ最後の火事)で消失しましたが16年前に再建されました。このアングルからだと、とても築16年の築浅物件とは思えません。そこには不死鳥(劇場名のフェニーチェは英語ではフェニックス、不死鳥の意)の凄みすらあります。
 自分としては、藤原義江はかつてこの舞台に立ったのか? がちょっと気になりました。彼は1934年(昭和9年)に、ビクターよりレコード『ヴェニスの想い出』を出しています。藤原は1920年大正9年)3月、日本からイタリアへオペラ修業の旅に出発。『漂泊者のアリア』(古川薫著)で描かれた、その旅立ちのシーンは実にドラマでした。ちなみに彼は1976年に77歳で没したのですが、晩年はホテル側の厚意で帝国ホテル内の専用室に居住。全盛期に同ホテルを贔屓にしていたことへの御礼として、財産を使い果たした彼の面倒を生涯みたそうです。昭和の香りも芳しいエピソードですね

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