あ ば ろ ん

瀧昌史どんぶらこっこすっこっこ旅日記

Bar, Bar, Bar, Bar, & Bar.


宵に冬の香漂う頃になると、月刊誌の特集取材でバー巡りをしたことを思い出します。自分は地方都市担当で、1日5軒を目安にまわりました。ひとつの街に三日かけ、目星をつけておいた15軒程をまわり、セレクトした5軒を紹介します。初めての店でひとりカウンター席に座り、ドライマティーニをオーダーし、横目でステアの仕方を眺め、静かにマティーニグラスを傾ける。ちょっと世間話をしてお店のスタイルをうかがい、代金を払い、領収書を貰う。店を出たらすぐにどこか明るい場所を探してメモをとり、次の店への道順を確認。また新たな扉を開け、カウンター席に座り、ドライマティーニをオーダーする……。これを一晩に5回、黙々繰り返す訳です。面白かったけど、結構ハードボイルドかつストレスフルでした。お店の人からしたら明らかに普通の客ではなく、詮索をかわす(一応覆面取材が前提)のも、ちょっとしたコツが必要。よく警察関係者に間違われました。
 仙台では取材中に雪が積もってきたので、通りがかりの店にあったカナダ製の防寒靴を購入。前評判と違ってひどく投げやりなバーテンダーがつくった、いいかげんなドライマティーニをのまされた後だったので、買い物はちょっとした気分転換に。その靴で雪を踏みしめ次に訪ねたのが、国分町の『クラドック』。ここはオーセンティックないいバーで、救われた気分になりました。以来、グリーンのゴム製の防寒靴は自分のラッキーシューズに。だいぶくたびれてきましたが現役で、今も極寒取材で重宝しています

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