あ ば ろ ん

瀧昌史どんぶらこっこすっこっこ旅日記

天国へのリフト

 蔵王宮城県刈田郡蔵王町)に入っても灼熱で、楽しみにしていた遠刈田温泉 神の湯のひとっ風呂も、とてもそんな気になりません。そこで涼を求め、お釜、と呼ばれる火口湖を目指すことに。刈田リフトのチケットを買って乗り場に行けば、上の現在の気温は18℃との但し書き。
 小さな椅子に身を任せゆらゆらと登れば、カッコウが鳴き、高原を渡る風は清涼で、ああゴクラク極楽。なんだか景色も色も昭和なかんじで(しかもフジクロームっぽい)、静かに静かに始まる〝天国への階段〟冒頭のアルペジオが聴こえてきそうです。もし1970年にジミー・ペイジJimmy Page)とロバート・プラントRobert Plant)が、いま時分このリフトに乗っていたなら〝天国への階段〟ではなく〝天国へのリフト〟になってたかも

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発荷峠でけろけろ

 鹿角市(かづのし:秋田県)から国道103号線を北上すると、十和田湖に出る手前、発荷峠(はっかとうげ)で湖を一望できます。晴れていれば、それは見事な眺望です。駐車場をはさみ、展望棟と向き合って売店があり、その店頭で焼かれている胡桃味噌の団子とか、りんごジュースとかが人気です。
 売店に入ろうとしてふと視線を感じ、棚を見れば帽子にアツく見詰められていました。けろけろ

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2017-2018 FIM世界耐久選手権 最終戦”コカ・コーラ”鈴鹿8耐

 昨日(7月29日)、BS12 トゥエルビで鈴鹿8時間耐久レースを生中継すると知り、お昼前のスタートから見始めたら、目が離せなくなりました。自分がはじめて8耐に行ったのは……とカウントすれば、なんと38年前のことでした。1980年代の終わり頃からは、2輪専門誌の編集者として速報本を出すため毎夏、鈴鹿へ。周回を重ねるマシンをTVで見ていたら、ドロドロのダイヤモンド風呂とか、デグナーカーブへの炎天下トレッキングとか、レース前夜、予選でコケたマシンを貫徹で直すピット風景を夜明けの光で撮ろうと朦朧と居眠りしつつ待機したこととか、ふとした瞬間フラッシュバッグし、ツラくなりました。
 写真はいまも本棚にある'81年(左)、'82年(中)、'83年(右)の8耐公式プログラム。'81年と'82年がカパカパになっているのは、雨に降られたから。すごくわかりやすい

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一人のびのび森となり


 川棚のクスの森です。国指定天然記念物で、名前は森なれど、実は一本の楠(クスノキ)。枝葉は高さ約27メートル、幅は東西約58メートル、南北約53メートル、縦横無尽に伸びています。川棚温泉山口県下関市豊浦町)に泊まった翌朝訪ね、「キングギドラだ!」と驚きました。
 樹齢1000年以上で、一昨年から根腐れ等により樹勢が弱りつつあるとか。かの種田山頭火も「大楠(おおくす)の 枝から枝へ 青あらし」と詠みました。自分的にも大変心惹かれたので、さて一句。「大楠は 一人のびのび 森となり」

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美しくも鬱な世界

 猛暑続きゆえストックのなかから、涼しげな写真を探しました。フィンランド北部のスキーリゾートです。連日ー20~30℃、日の出も日の入りも曖昧でひたすら夜がながく、皆おしなべて静かでした。
 窓一枚向こうはやはり命に危険な温度。それゆえ独特の閉塞感があり、美しくも鬱な世界でした。暑中お見舞い申しあげます!

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新大阪 15:50発 のぞみ238号にて

 新大阪 15:50発 のぞみ238号で東京へ。東京駅着は18:23予定。日の入りは19時前なので車窓からは、刻一刻と暮れなずむ夕景が楽しめました。
 ところが気がつけば、サンシェードを降ろしいる席の多いこと。スマホやPCの画面を見にくくする夕日は要らない、ということでしょう。平日夕方の新幹線普通車指定席は今やビジネスエレベーター、サテライトオフィスの感があります。夕景など一瞥もされません

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ATAGOAL × HOKUSAI

 すみだ北斎美術館で開催中の企画展『ますむらひろし北斎展 ATAGOAL × HOKUSAI』をみてまいりました。影切り森の原画を心ゆくまで眺められたのがよかった。中三のときに創刊された月刊誌『マンガ少年』(朝日ソノラマ刊)の連載、ますむらひろしのファンタジー・ゾーンを毎月心待ちにしていたこと、思い出し感無量です。
 写真は1階で来館者を迎えていたヒデヨシ。ヒデヨシが山吹色だったとは……。ミュージアムショップには、この色のヒデヨシの貯金箱もありました。ちょっと欲しかった

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懐かしい一ノ関駅とED75

 一ノ関駅岩手県一関市)ではやぶさ103号を降り、西口へ向かいます。東北本線大船渡線の在来線をオーバーパスする陸橋を歩いていたら、懐かしい電気機関車パンタグラフを休めていました。国鉄色ED75です。中学生の頃、これが牽引する『ゆうづる』や『あけぼの』に乗ってみたかったこと、思い出しました。深夜の雪原をゆく夜行寝台特急に、雪がめったに降らない静岡在住の中学生(自分です)は憧れました。
 このED75 757は1972年東芝製造の車輌とのこと。初年度製作が1963年の交流電気機関車ED75は現在5両のみ現役なのだそうです。写真は一ノ関駅構内西口改札付近で撮ったのですが、そこにはなんだか懐かしい正統的駅そばスタンドがあったりしていい雰囲気。自動改札機が妙なハイテク感をかもしていました

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団子は今日も。

 岩手県一関市の厳美渓名物、空飛ぶ団子です。籠の中には注文した人数分のお茶と、箱入り団子。渓谷の上、重力にまかせするすると手際よく飛んできます。
 やりとりが楽しくて人気です。団子屋さんでも渓谷を眺めながらいただけますが、わざわざ下まで降りて注文したくなるほど。やりとりに独特な間があって、その間が高低差を行き来。渓谷を挟んで大真面目に、今日も風流が行ったり来たりしています

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夏に架ける橋

  今年も夏の海水浴シーズンだけ、材木座由比ヶ浜を分かつ滑川を渡す橋が架かりました。この素朴な素材感が民芸運動調でいいですね。名前は無いようです。
 もし自分がネーミングライツ権を得たら『夏に架ける橋』にします。英文表記は〝Bridge over Troubled Summer〟としましょう

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ANIMALS IN YOKOSUKA

 横須賀市美術館で開催中の『三沢厚彦 ANIMALS IN YOKOSUKA』を観に行きました。作品は「触ってはなりません」となっていますが、どれもクスノキの削(はつ)り跡も艶めかしく、ついつい撫でてみたくなります。写真はエントランスに置かれた白いクマ。三沢動物、目と尻尾がいいですね。
 展示の最後にあった、舟越桂らとの共作による『オカピ』、その傍らのデイヴィッド・ホックニー(David Hockney)が描いた『犬』もよかったf:id:takimasashi:20180708152508j:plain

 

夏空に雲のリビング

 機内の窓から見下ろす積乱雲は、夏ならではの楽しみ。雲の絨毯とよくいいますが、夏のそれは雲のリビング。名和晃平作品っぽい3D感が好みです。
 杜子春の父母とか蜘蛛の糸のお釈迦様とかも、その雲の向こうに居そうです。ああ私は相変わらずカンダタです

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懐かしい海

 ルームライトは由紀さおりによって唄われましたが(1973年3月にシングル盤『「ルーム・ライト (室内灯)」』リリース。詞は岡本おさみ、曲は吉田拓郎)ルームミラーは歌謡曲のタイトルになかったように思います。フロントガラス越しに見るより、ルームミラー越しに見る海の方が切ないのは、それが置き去りにする景色、つまり過去だからでしょうか。
 6月29日、今年は梅雨明けと同時に逗子海岸(神奈川県逗子市)が海開きしました。昨日の夕方散歩したら、もう海開き前の海岸が懐かしい

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三光橋のうどん与太郎にて

 その日は早朝から移動と取材を繰り返し、15時過ぎ〝本日の仕事とりあえず完了〟に。蒸し暑かったけど、あの柔らかいうどんが食べたくなり、天神南三光橋(福岡市中央区渡辺通)交差点の『うどん与太郎』へ。カウンターにて、まずはビール。となると与太郎ではうどん前に、おでんです。
 きくらげ天、餃子巻、牛スジ。まず箸をつけたきくらげ天がそれほど熱く無かったので、次に餃子巻を噛むと、口の中で熱さ大暴発! ひとり無言ダチョウ倶楽部です。それがきっかけで、その後1時間ほど汗が止まりませんでした。夏の餃子巻には気をつけましょう。美味しかったけど。ごぼう天うどんも絶品でした、ごちそうさまでした

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高度1万mのサムライブルー

 JAL国内線に搭乗して、眼下の富士山に見とれ、ふと目を上げるとサッカーワールドカップ 日本チームのブルーのユニフォームを着たCAの方が、目の前にいたので驚きました。ワールドカップだなあ、それにしてもイケてるサービスだなあ。写真を撮らせてもらおうかな、と思っていたら、いつのまにかデフォルトの制服に戻っていました。聞けば機内でのサービス時のみ着用とのこと。じゃあ、帰りの便で写真を撮らせてもらいます、と言ったら「機材によって着ない便もあり、レアかもしれません。……よろしかったら、もう一度着ましょうか?」とのこと。機材? はて? と思いつつもせっかくだから撮らせていただきました。でもSNSへの顔出しアップはNGとのこと。すごく残念です。
 無事着陸してバゲッジクレームまで歩いていたら、何人かスマホで機体を撮っている方がいます。振り向けば、搭乗機にはこんなラッピングが。機体、レア、の意味がわかりました。応援仕様機だったんですね。ちなみに彼女達が着用したサムライブルーの背中には背番号もお名前も無く、大きく鶴丸が描かれていました

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