あ ば ろ ん

瀧昌史どんぶらこっこすっこっこ旅日記

贅沢恐竜、BMW K1600 Grand America

BMW K1600 Grand Americaがもし横浜トリエンナーレの会場にあったら、会期中に横浜美術館のエントランスに置かれてたりしたら、コンテンポラリーアート作品だと誰もが信じ疑わない気がする。オートバイにしてはあまりに異形、巨大だ。間違ってどこかのボタンを長押ししたら、トランスフォームしてしまいそう。ところが乗るとこれが楽ちん。走る巨大安楽椅子となる。「押せば命の泉湧く」と笑った浪越徳治郎(なみこし とくじろう)先生にならえば、「捻ればパワーの泉湧く」といったかんじ。なにしろ水冷直列6気筒 1,649ccなのだから、今や4輪を含めたオールBMWの中でもとびきり贅沢なエンジンといえよう。そう、BMW K1600 Grand Americaは贅沢のひと言に尽きていて、このご時世に貴重な存在だ。その巨大さには1950年代末期のキャデラック エルドラド ビアリッツ(Cadillac Eldorado Biarritz)を彷彿させるものがある。もうこれが最後かもしれないな感が、実に濃厚。バイクなのにリアがキャプテンシートっぽいのも珍しい。

 以前、ミュンヘン空港近くのガソリンスタンドで、BMWの6気筒モデルを給油機横に停めたライダーが、跨がったまま自ら給油しているのを見て、感銘を受けたことがある。やっぱりそれくらいの体の大きさを想定してつくられているよな、と恐れ入ってしまった。GTほどではないにせよ、そのスケールからすれば恐ろしいほど乗りやすいのだが。ちなみに車重は358kgで、坂道発進アシストも標準装備。案外、早期電化により、生きながらえるモデルなのかもしれません

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