ようこそ《こけし》
イサム・ノグチの《こけし》です。神奈川県立近代美術館 葉山に昨年やってきました。1951年生まれで、52年に神奈川県立近代美術館 鎌倉で開催された個展で発表され、その後同館の中庭に常設展示されていたものです。2015年に神奈川県立近代美術館 鎌倉が閉館となったので、葉山にやって来ました。あたかも開館時からそこにあったかのように、素晴らしく馴染んでいます。
それを記念して「イサム・ノグチ《こけし》葉山へようこそ!」というリーフレットがつくられました。それが、実像に負けづ劣らずキュート! 近美葉山にいらしたら、ぜひそちらもご覧ください
空港駐車場にて
旅が終わり、いよいよ空港でレンタカーを返却。返却ブースを目指し、空港駐車場の中を走ると、帰国前でやや感傷的になっているからか、停めてあるクルマ、一台一台の佇まいが目に沁みます。写真はサンフランシスコ国際空港(San Francisco International Airport)で見かけたピックアップトラック。1973年から'87年まで15年に渡って生産された三代目のシボレー(Chevrolet) C/Kですね。生産終了から30年となる今でも、よく見かける人気モデルです。けっこうピカピカなのに、手間をかけレストアしただろうに、空港駐車場にポンととめてあるのが粋だなぁ。
空港駐車場の並びは、あたかもクルマの持ち主それぞれの人生の断片が留め置かれかのよう。眺めて楽しいのは断然、アメリカとイタリアですね。それとは対照的に自分は、日本の空港駐車場では(それが地方空港であろうとも)息苦しさを覚えることが、多々あります
とうとう自立を切り出され
米ラスベガスで1月5日に開幕したコンシューマ・エレクトロニクス分野における世界最大の見本市、CES2017においてHONDAは、ライダーがいなくても自立する2輪実験車、Honda Riding Assistを世界初公開しました。ASIMOに代表されるヒューマノイドロボット研究で培ったHonda独自のバランス制御技術を二輪車に応用。ライダーが乗っていても、乗っていなくても自立することができ、ライダーが少しバランスを崩しても、バイク自体がバランスを保つことで、低速走行時や停止時のふらつき、取り回しの際の転倒リスクを軽減。その一方で、通常の走行時には、既存の二輪車と同等の操縦性を実現。ツーリングやバイクのある日常をより楽しいものにする提案、なのだそうです。ファンクションとしては、頷けます。YAMAHAが前二輪、後ろ一輪のLMW:Leaning Multi Wheel(リーニング・マルチ・ホイール)モデル、トリシティで具現した「ころばないバイク」に、さらに迫ったようです。
長距離ツーリングの出先で、エンジンを切りサイドスタンドを出し、バイクを停めて降りたその瞬間の静寂。その静寂の中で、コイツ(←もちろん愛機)ととうとうここまでやってきたなあと、タンクを撫でる、みたいな感じにはたぶんならないのだろうなあ、なにしろ降りても自立してるんだものなあ、と。そこらへんが自分としては気がかりです
八十と書いてハトと読む
鎌倉を歩いていたら、鳩サブレーで有名な豊島屋のカフェ(甘味処?)豊島屋菓寮 八十小路(としまやかりょう はとこうじ)の入口に、この絵が貼ってありました。なんだか妙に身につまされるタッチです。
そういえば今年の干支は丁酉(ひのととり)ですね。謹賀新年!
天日干し天然もの
大晦日を迎えるにあたり自分が今年もっとも感銘を受けた景色をアップすることにしました。バイク好きにはたまらんフェンスです。特にディスプレイしている訳ではなく、忘れないよう掛けて置いている風の、天然もの物件ですね。偶然通りかかった、昭和な商店街のなかのバイク店。その隣の駐車スペースのフェンスです。青い木綿のツナギ姿でスクーターの整備をしていた主人に、思わず「ここ、写真撮ってもいいですか?」と聞けば、整備の手を休めず「いいですよ、どうぞ」。フェンスに陳列されたコレクションを改めて眺めれば、4気筒集合管系と、2サイクルスクーター系に大別できそう。1980年代バイクブームの残り香漂う景色です。
そして整備スペース奥の車輌の並びには、逆おむすび型のテールランプが。チラ見してちょっとドキドキしました。カワサキのWかも。自分には薄暗い中にあるそれが艶めかしく、足を止めてガン見出来ませんでした。したかったけど
YAMAHA RZ250
ああああこれはマズい!と、エンジンが吹け上がらなくなったバイクを本車線から路肩に寄せました。やがてアクセルグリップのひねりに反応は無くなり、シャラシャラとドライブチェーンは空回り。そして、バイクは止まりました。なぜマズいかといえば、指先でさぐったフュエルコックが、既に予備タンク位置だったからです。あああ、やってしまった! 時は深夜、名神高速のどこかです。携帯電話はおろか、二輪向けロードサービスも無かった1980年の夏の終わり、バイクは新車で買ったばかりのYAMAHA RZ250。サイドスタンドを出して、さてどうしよう、とあたりを眺めれば、そこは傾斜のついた盛り土高架の上。下は田んぼで、向こうに工場らしき建物が。灯りがついています。傍らを行くクルマのライトをたよりにシートを外し、テールカウル内にバンド留めしてあった車載工具を取り出し、なんとかタンクを外しました。見事にカラだったそれを両手に抱え、ガードレールを越え、盛り土を下り、灯りのもとへ。すみませーん! と何度か叫んで出てきたのは、かなりお酒を召したステテコ姿のおやじさん。どないした! とまず心配してくれました。バイクのタンクを抱えたまま、ガス欠で名神を降りて歩いて来たことを説明し、ガソリンの買い置きがあったら分けて欲しいとお願いすると、おやじさんは、ほうかほうか、事故やのうてよかったよかった、と目を細めます。こっちおいで、と工場を出て、トラックの傍らに。赤い灯油ポンプでそこからガソリンをわけてくれました。ええがな、気いつけてな、とガソリン代も受け取ってくれません。お礼を言って工場を辞し、ああ助かった、と歩き始めてタンクの重さに気がつきます。容量16ℓほどのタンクが、なみなみ満たされています。
盛り土の途中で、困り果てました。タンクの重さで上れません。勢いをつけ1.5mほどは上がるのですが、踏ん張れず滑り落ちてしまいます。結局、わずかずつタンクを上げて、置いて、登って、またタンクを上げて、自分も登ってと、尺取り虫のように。尖ったガソリンコックを壊さぬよう、詰まらせないよう、気をつけながらの匍匐(ほふく)前進ならぬ、匍匐登頂です。バイクの元に戻り、タンクをセットして走り始めれば、ヘトヘトでした。今でもRZ250を見かけるとあの夜の、疲労困憊(ひろうこんぱい)を思い出します。おやしさんの「ほうかほうか、事故やのうてよかったよかった」という声が聞こえます
ないものねだり
軍事施設?、宇宙センター?? アラブ首長国連邦(الإمارات العربية المتحدة)を構成する首長国のひとつ、ドバイ(دبي)のショッピングモールです。実はこれ、スキードバイ(Ski Dubai)という名の室内スキー場。夏には気温が50℃ともなる地に、400mに及ぶゲレンデを設け、かつては本気でスキーW杯を招致していました。さすがに、やることが豪快です。
そういえばかつて船橋にザウス(ららぽーとスキードームSSAWS)という室内スキー場がありましたね。成田空港に行き来する際、首都高湾岸線からよく眺めました。1993年7月にオープンし、2002年9月まで営業していたそうです。跡地に今はIKEA Tokyo-Bayがあります。同じ頃、ワイルドブルーヨコハマ(Wild Blue Yokohama)という大型屋内温水プール施設もありました。こちらの跡地はマンションになっています。唯春の夜の夢の如し、ですね
ランプマン
散発的な雷雨、時折の土砂降りとともに、大地に新しい生命が息吹くグリーンシーズンがやって来ました。と、南アフリカのリゾート、シンギータ(Singita)から便りが届きました。そうか南半球か、夏なのか、と夏好きとしてはうらやましい!
写真はサビ・サンド動物保護区(SABI SAND RESERVE)にあるシンギータ ボウルダー ロッジ(Singita Boulders Lodge)のディナー セッティング。プールサイドに置かれたたったひとつのテーブルのために、163個ものランプが灯されます。天気のいい日のみの名物セッティングで、ランプマンと呼ばれる老人が、まだ日が高いうちからランプひとつひとつに火をつけ、長尺の竿で樹にかけていました。気の遠くなるような贅沢です
ユタ州の髑髏酒
米、ユタ州のマウント カーメル ジャンクション(Mt.Carmel Junction, Utah, U.S.A)という州道の分岐点に、『レストラン ゴールデンヒルズ』(Restaurant GOLDEN HILLS)はあります。隣はモーテル、道を挟んだこちら側にはギフトショップがありました。そのギフトショップのカウンターの後ろに、テキーラ入りの装飾されたスカル デキャンタが並んでいて、とても気になりました。しかし旅はまだ途中。陶器と覚しきデキャンタは割れやすそうだし、今までの経験上、そう思ったものはほぼ確実にどこかで割れるしなあ、と購入を諦めました。
そこはザイオン国立公園(Zion National Park)の入口。その国立公園、日本ではあまり知られていませんが、彼の地ではグランドキャニオン(Grand Canyon)と並ぶ人気とのこと。クルマで公園の一端をかすめただけでも、その異景には圧倒されました。……でもこの写真で瞬間的に思い出すのは国立公園の景色ではなく、自分的にはテキーラ入りのクールなスカルです
Bar, Bar, Bar, Bar, & Bar.
宵に冬の香漂う頃になると、月刊誌の特集取材でバー巡りをしたことを思い出します。自分は地方都市担当で、1日5軒を目安にまわりました。ひとつの街に三日かけ、目星をつけておいた15軒程をまわり、セレクトした5軒を紹介します。初めての店でひとりカウンター席に座り、ドライマティーニをオーダーし、横目でステアの仕方を眺め、静かにマティーニグラスを傾ける。ちょっと世間話をしてお店のスタイルをうかがい、代金を払い、領収書を貰う。店を出たらすぐにどこか明るい場所を探してメモをとり、次の店への道順を確認。また新たな扉を開け、カウンター席に座り、ドライマティーニをオーダーする……。これを一晩に5回、黙々繰り返す訳です。面白かったけど、結構ハードボイルドかつストレスフルでした。お店の人からしたら明らかに普通の客ではなく、詮索をかわす(一応覆面取材が前提)のも、ちょっとしたコツが必要。よく警察関係者に間違われました。
仙台では取材中に雪が積もってきたので、通りがかりの店にあったカナダ製の防寒靴を購入。前評判と違ってひどく投げやりなバーテンダーがつくった、いいかげんなドライマティーニをのまされた後だったので、買い物はちょっとした気分転換に。その靴で雪を踏みしめ次に訪ねたのが、国分町の『クラドック』。ここはオーセンティックないいバーで、救われた気分になりました。以来、グリーンのゴム製の防寒靴は自分のラッキーシューズに。だいぶくたびれてきましたが現役で、今も極寒取材で重宝しています